退職後、大学や専門学校、カルチャースクールに通い直し、本格的な学び直しに挑戦する人がいます。若い頃に果たせなかった学びの夢を実現する、あるいは新しい専門知識を身につけて新たな活動につなげるなど、目的はさまざまです。進学という選択肢の魅力と、始め方を紹介します。
シニア世代の大学進学という選択肢
多くの大学では、社会人向けの入試制度や科目等履修生制度を設けており、年齢を問わず学び直しができる環境が整ってきています。正規の学生として入学するだけでなく、興味のある科目だけを聴講する形も選べるため、自分の目的や体力に合わせた学び方を選択できます。文学、歴史、心理学など、これまで仕事の合間に学べなかった分野に、じっくり取り組む人も多くいます。
放送大学という選択肢
自宅にいながら学べる放送大学は、シニア層にも人気の選択肢です。テレビやインターネットでの講義視聴を中心に、自分のペースで学習を進められます。学費も一般の大学に比べて抑えられており、幅広い科目から興味のある分野を選んで学ぶことができます。正式な学位取得を目指すこともでき、卒業式に出席することを目標に頑張る人もいます。
カルチャースクールという気軽な選択肢
大学ほど本格的でなくても、駅前のカルチャースクールや、自治体の公開講座で気軽に学び直しを始めることもできます。語学、歴史、書道、パソコンなど、幅広いジャンルの講座が用意されており、単発の講座から始めて興味が深まれば継続する、という進め方もしやすいのが特徴です。読書・学び直しの楽しみ方で紹介した内容とあわせて、自分に合った学び方を見つけるヒントにしてみてください。
学費と時間の準備
大学や専門学校への進学には、まとまった学費がかかることもあります。退職後の収入シミュレーションの作り方を参考に、学費が家計にどれくらいの負担になるかを事前に試算しておきましょう。また、通学にかかる時間や体力についても、体力に無理のないペースで計画を立てることが欠かせません。
学び直しの目的を明確にする
「新しい仕事に活かしたい」「純粋に学びたい分野がある」「同じ興味を持つ仲間が欲しい」など、学び直しの目的を明確にしておくと、自分に合った学び方や学校選びがしやすくなります。退職前にスキルの棚卸しをする方法もあわせて参考に、これまでの経験と新しい学びをどう組み合わせたいか考えてみると、学校選びの軸が定まりやすくなります。
同世代・異世代との交流
大学やカルチャースクールでは、同じシニア世代の仲間だけでなく、若い世代の学生と机を並べる機会もあります。世代を超えた交流は、新しい視点や刺激をもたらしてくれることが多く、これまでとは違う人間関係を築くきっかけにもなります。
学び直しを仕事につなげる場合
取得した知識や資格を、その後の仕事やボランティア活動に活かしたいと考える場合は、資格取得で新しい分野に挑戦するもあわせて参考にしてください。学びを実践につなげることで、より充実感のある退職後の生活を築くことができます。
大学院進学という選択肢も
より専門的に学びたい人の中には、大学院への進学を選ぶ人もいます。特定の分野を深く研究したい、卒業論文や修士論文という形で自分の考えをまとめたいという目的意識のある人にとって、大学院は充実した学びの場になります。社会人向けの夜間・週末開講の大学院も増えており、働きながら、あるいは退職後の時間を活かして通う人が増えています。
学び直しをきっかけにした地域貢献
学んだ知識を、地域の子どもたちへの学習支援や、地域講座の講師といった形で還元する人もいます。ボランティア・地域活動という選択肢とあわせて、学びを社会に還元する道を考えてみるのも、退職後の充実した過ごし方の一つです。
気軽な読書・独学から始める道も
いきなり進学を決めなくても、まずは読書・学び直しの楽しみ方で紹介したような、図書館や独学での学びから始める方法もあります。独学で興味が深まってから、より本格的な進学を検討する順番でも遅くはありません。
学んだことを教える側に回る
学び直しで得た知識を、今度は教える立場で活かす人もいます。カルチャースクールの講師登録や、自治体の生涯学習ボランティア講師として、月1〜2回程度の頻度から引き受けるケースが多く見られます。起業ではなく小さく副業から始めるも参考に、まずは謝礼程度の少額から、負担にならない範囲で始めてみるとよいでしょう。
費用面の計画も忘れずに
退職後の家計の中に、学費という項目をあらかじめ明確に組み込んでおくことが欠かせません。退職後の家計簿・支出の見直し方を参考に、月々いくらまでなら学びに充てられるかを具体的な数字で決めておくと、途中で資金が足りなくなる心配を減らせます。
実際に学び直しをした人の体験
ある元会社員の男性は、退職を機に放送大学に入学し、長年興味があった日本史を一から学び直しました。仕事をしながらでは決して取れなかったまとまった時間を使い、テキストを丁寧に読み込みながら、興味の赴くままに関連する史跡を訪ね歩くようになったといいます。「学生時代とは違い、誰かに評価されるためではなく、純粋に知りたいから学ぶという感覚が新鮮だった」と振り返っており、卒業を目標にするのではなく、興味の続く限り学び続けるスタイルで楽しんでいます。
入学前に見学・体験授業を活用する
いきなり正式に入学するのではなく、多くの大学やカルチャースクールでは、公開講座やオープンキャンパス、体験授業といった機会を用意しています。実際の授業の雰囲気や講師との相性、通学にかかる負担などを事前に確認しておくことで、入学後のミスマッチを防ぎやすくなります。興味のある学校がいくつかある場合は、比較検討のためにも、複数の体験機会に参加してみるとよいでしょう。
よくある質問
Q. 大学入試を今から受けるのは大変では?
A. 社会人入試枠を設けている大学も多く、一般入試とは異なる、面接や小論文中心の選考方式を採用しているところもあります。まずは志望する大学の入試制度を調べておくとよいでしょう。
Q. 体力的に通学が続けられるか心配です
A. 放送大学のような通信制の学校であれば、自宅で自分のペースで学べます。通学制であっても、履修する科目数を調整することで、体力に合わせた学び方が可能です。
Q. 学位を取っても仕事に活かせる?
A. 分野によっては資格や学位が新しい仕事につながることもありますが、必ずしも仕事に直結しなくても、学ぶこと自体に大きな価値があります。目的を明確にした上で、自分にとっての意味を見つけていきましょう。
Q. 途中で学ぶ分野を変えてもいい?
A. もちろん問題ありません。学び始めてから興味が変わることはよくあることで、方向転換したからといって失敗というわけではありません。柔軟に興味の赴くままに学びを続けていく姿勢も、退職後の学び直しならではの自由さです。
大学・カルチャースクールへの学び直しは、新しい知識と出会い、そして新しい人とのつながりをもたらしてくれる、豊かな選択肢の一つです。興味のある分野から、気軽に一歩を踏み出してみましょう。
実際に大学やカルチャースクールで学び直した方の体験談も取材しています。ご自身の経験を話してみたいという方は取材にご協力ください。


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