転職先が決まっていない状態で現職を辞めるべきかどうかは、転職活動を進める人の多くが一度は悩む選択です。在職中の活動に限界を感じて先に退職してしまう人もいれば、収入の空白期間を避けるために在職中の活動にこだわる人もいます。どちらにも一長一短があり、家庭の状況や貯蓄額、業界の転職市場の動向によって最適な判断は変わります。ここでは転職先が決まる前に退職するかどうかを判断するための具体的な視点を整理します。
どちらを選ぶかは一人ひとり事情が異なる
転職先が決まる前の退職を「リスクが高い選択」と決めつける見方もありますが、現職の業務が心身の負担になっている場合や、介護・家庭の事情で現職を続けること自体が難しい場合は、先に退職せざるを得ない状況もあります。逆に、現職に大きな支障がなく転職活動のための時間だけが課題であれば、在職中の活動で十分に対応できる場合も多くあります。どちらが正しいという一般論ではなく、自分の貯蓄状況、家族の状況、転職したい業界の求人動向を踏まえて、個別に判断する必要があります。在職中のまま転職活動を進める方法については在職中に転職活動を進める方法とコツでも具体的に紹介しています。
先に退職するメリットとリスク
先に退職すると、転職活動に充てられる時間が大幅に増え、平日日中の面接にも柔軟に対応できるようになります。一方で収入が途切れるリスクを抱えることになり、失業保険(基本手当)を受給できる場合でも、自己都合退職では受給開始までに給付制限期間が設けられ、申請からすぐに給付が始まるわけではありません。給付制限の期間や条件は退職理由や雇用保険の加入期間によって異なるため、退職前にハローワークで具体的な見込みを確認しておく必要があります。失業保険の受給条件については失業保険を受給するための勤務期間の条件、給付額の計算方法については失業保険の給付額はいくらになるか計算方法で詳しく解説しています。
退職前に確認しておくべきこと
生活費の見通しを立てる
先に退職する場合、転職活動が長引いた場合に備えて、最低でも3〜6か月程度生活できる貯蓄があるかどうかが判断の分かれ目になります。失業保険の申請手続きについては失業保険の申請手続きとハローワークの流れで流れを確認できますが、申請から実際に給付が始まるまでの期間は収入がない状態が続く点を踏まえて計画を立てる必要があります。
社会保険・健康保険の切り替え
退職後は健康保険の切り替えが必要になり、国民健康保険への加入か、現職の健康保険の任意継続かを選択することになります。どちらが有利かは世帯の収入や家族構成によって異なるため、任意継続健康保険と国保どちらが得か比較や退職後の国民健康保険への切り替え手続きを参考に、退職前に見積もりを取っておくと安心です。
転職市場の動向を見極める
応募している業界・職種の求人数が豊富で、選考スピードが速い時期であれば、先に退職しても転職活動が長引くリスクは比較的抑えられます。逆に、特定の資格やスキルが必須とされる専門職で求人数自体が少ない場合は、在職中に時間をかけて活動したほうが結果的にリスクが小さくなる場合があります。
在職中に活動を続ける場合の判断基準
在職中の活動を続ける場合でも、現職の業務量や体調への負担が大きくなっているときは、無理に両立を続けることが転職活動の質を下げてしまう可能性があります。面接の準備に十分な時間が取れていない、面接当日に体調を崩しやすくなっているといった状態が続く場合は、先に退職して集中する選択肢も現実的な判断材料になります。複数社の選考が重なりやすい時期は複数社の面接を同時進行で進めるスケジュール術も参考になります。
自己都合退職の場合、雇用保険の給付制限期間中は収入がまったくない状態になるため、退職前の貯蓄額と給付制限期間の長さを必ず確認してから退職日を決める必要があります。
年齢・キャリアの段階による違い
20代〜30代前半であれば、求人数が多い業界・職種であれば転職市場での選択肢が比較的広く、先に退職しても転職活動を進めやすい傾向があります。一方、管理職経験やマネジメント職を希望する40代〜50代の場合は、ポジションそのものの求人数が限られるため、在職中にじっくり時間をかけて活動を進めたほうが結果的に有利な条件で転職できる可能性が高くなります。介護離職や体調不良で既に退職してしまっている場合は、過去の経緯にとらわれず、現在の生活状況から逆算して活動期間の見通しを立てることが現実的な進め方です。未経験の職種への転換を考えている場合は30代・40代の未経験職種転換の進め方、退職期間が空いてしまった場合の履歴書の書き方は転職の履歴書で空白期間をどう説明するかでも解説しています。
どちらを選んでも後悔しないための準備
先に退職するか在職中に活動を続けるかのどちらを選んだとしても、退職前に必要な手続き(雇用保険被保険者証や離職票の受け取り方法、健康保険の切り替え窓口など)を一通り確認しておくと、実際に退職した後の事務手続きで慌てることがなくなります。退職時に会社から受け取る書類が不足していると、失業保険の申請や国民健康保険の切り替えが滞ることもあるため、退職日が決まった時点で人事担当者に必要書類の受け取りスケジュールを確認しておく必要があります。
体験談:先に退職するかどうかで結果が分かれた2人
ある元経理職の40代女性は、在職中の転職活動で面接の時間が確保できず、半年間内定が出なかったため思い切って退職し、その後1か月半で希望に近い条件の企業から内定を得ています。退職前にハローワークで給付制限の見込み期間を確認し、生活費の計画を立てていたことが精神的な余裕につながったと話しています。一方、ある元小売業の30代男性は、転職先が決まる前に勢いで退職してしまい、想定より転職活動が長引いた結果、給付制限期間中の生活費が不足し、アルバイトを探しながら転職活動を続けることになりました。振り返ると、退職前にもう少し貯蓄を積んでおくべきだったと感じています。
よくある質問
転職先が決まる前に退職すると失業保険はすぐにもらえますか
自己都合退職の場合は給付制限期間があるため、申請後すぐに給付が始まるわけではありません。会社都合退職として認められる場合は給付制限が設けられないケースもあるため、退職理由の整理も含めてハローワークに事前に相談しておくことが現実的です。
先に退職すると転職活動で不利になりますか
在職中か退職済みかという事実自体が選考の合否を直接左右することは一般的に多くありません。ただし、退職後の期間が長くなるほど空白期間について質問される可能性が高くなるため、早期に転職活動を進める意識は必要です。
退職前に転職エージェントに相談しておくべきですか
退職前の時点で転職エージェントに登録し、応募可能な求人の数や選考スピードの見込みを確認しておくと、退職するかどうかの判断材料が増えます。実際に退職してから活動を始めるよりも、在職中に市場感をつかんでおくほうが判断の精度が上がります。
実際に転職先が決まる前に退職するかどうかを判断した方の体験談も取材しています。ご自身の経験を話してみたいという方は取材にご協力ください。


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