退職した後は、会社が手続きを代わりにしてくれる場面が減ります。健康保険、年金、失業保険、税金は、期限がそれぞれ違い、自分から動かないと進みません。期限を過ぎると、受け取れるお金が減ったり、一時的に医療費が全額自己負担になったりする場合があります。
この記事では、退職後にやる手続きと、もらえるお金を、期限の短い順に並べます。退職前にやることは、退職前にやることともらえるお金の全体像で整理しています。
退職後の手続きとお金の流れ
期限の短い順に、次のとおりです。
- 退職日の翌日から14日以内: 国民健康保険・国民年金への切替
- 退職日の翌日から20日以内: 健康保険の任意継続の申請
- 離職票が届いたら早めに: ハローワークで失業保険の手続き
- 就職が決まったら: 再就職手当などの申請
- 翌年: 住民税の請求、年の途中で退職した場合は確定申告や年末調整の確認
1. 健康保険と年金の切替(14日・20日)
退職日の翌日からは、会社の健康保険証が使えません。次の3つから選びます。
- 国民健康保険に加入する(市区町村の窓口。退職日の翌日から14日以内)
- 健康保険の任意継続を使う(最長2年。退職日の翌日から20日以内に申請)
- 家族の被扶養者になる
どちらが安いかは、前年の所得や住んでいる自治体、扶養する家族の人数で変わります。比較の考え方は任意継続健康保険と国保どちらが得か比較で確認できます。会社都合などで退職した人は、国民健康保険料が軽減される制度もあります。前年の給与所得を30%として計算し、離職日の翌日の属する月から翌年度末までが対象です。窓口で、離職票を持って相談してください。
2. 失業保険(基本手当)の手続き
離職票を受け取ったら、住所地のハローワークで求職の申し込みをします。受給できる期間は、原則として離職日の翌日から1年です。手続きの流れは失業保険の申請手続きとハローワークの流れに書いています。
自己都合と会社都合の違い
自己都合で退職した場合は、待機期間のあとに給付制限があり、受け取り始めが遅くなります。給付制限の長さは、制度の改正や理由によって変わるため、申請時にハローワークで確認してください。会社都合や特定理由離職者は、給付制限がありません。定年退職も、自己都合の給付制限はありません。
病気やけが、介護で働けない場合
すぐに働けない場合は、受給期間を延長できます。病気・けが・介護などで30日以上働けない場合は、最長3年(合計4年)まで延長でき、働けない状態が30日以上続いた日の翌日から、延長後の受給期間の最後の日までに申請します。遅れると、受給できる日数が残らない場合があります。
職業訓練を受ける場合
公共職業訓練を受けると、給付制限が解除される場合があります。条件は公共職業訓練を受けると失業保険の給付制限が解除される?訓練延長給付の仕組みで説明しています。
3. 再就職手当と、就職後の給付
失業保険の受給中に、早めに再就職が決まった場合は、再就職手当を受け取れることがあります。支給の条件(受給資格、残りの給付日数、就職先の雇用形態など)と給付率は、就職の時期や状況で変わるため、就職が決まる前に、ハローワークの窓口で確認してください。就職日の前後で、手続きの順番が決まっているためです。
就職後に賃金が下がった場合や、就職を続けた場合に受け取れる給付もあります。どの給付が自分に当てはまるかは、窓口で、就職先の予定と合わせて確認します。
失業保険の受給中の注意
受給中にアルバイトをする場合は、日数や収入を申告する必要があります。申告を忘れると、不正受給として扱われるおそれがあります。具体的な基準は、ハローワークの窓口で、受給の前に確認してください。
4. 傷病手当金・教育訓練給付・退職金
傷病手当金
支給期間は通算1年6か月です。退職後も続けて受け取るには、退職日までに被保険者期間が継続して1年以上あり、退職日に受給中か、受給条件を満たしている必要があります。傷病手当金を受け取っている間は、失業保険の受給は後になります。働けるようになったら、受給期間の延長を申請して、順番に受け取ります。申請方法は病気で退職した場合の傷病手当金の申請方法に書いています。
教育訓練給付
講座を受けるなら、一般は費用の20%(上限10万円)、特定一般は40%、専門実践は最大80%が支給されます。指定された講座かどうか、受講の前に手続きが必要かどうかを、ハローワークで確認します。
退職金の税金
「退職所得の受給に関する申告書」を会社に出していない場合は、退職金から20.42%が源泉徴収されます。出していない場合は、確定申告で精算できることがあります。
5. 住民税と確定申告
住民税は前年の所得に対して課税され、6月から翌年5月までの間に納めます。退職した翌年も、請求が来ます。一括で払うか、分けて払うかは、市区町村の窓口で選べる場合があります。年の途中で退職して、次の就職先がない場合は、年末調整を受けられません。確定申告で、払いすぎた所得税が戻ることがあります。公的年金を受け取る人の確定申告不要制度は、公的年金等の収入が400万円以下で、ほかの所得が20万円以下の場合です。住民税の申告は別に必要な場合があります。
退職後の手続きチェックリスト
- 健康保険の切替先を決めたか(14日・20日の期限)
- 年金を国民年金に切り替えたか
- 離職票が届いたか、離職理由の記載が事実に合っているか
- ハローワークで求職の申し込みをしたか
- 働けない場合は、受給期間の延長を申請したか
- 就職が決まる前に、再就職手当の条件を窓口で確認したか
- 住民税の請求に備えて、お金を残してあるか
体験談:手続きの順番で差が出た2人
ある元販売職の20代女性は、退職の翌週に国民健康保険の手続きを済ませ、離職票が届いた日にハローワークに行きました。窓口で再就職手当の条件を聞いておいたので、就職先の入社日を、条件に合う時期に調整できました。結果的に、手当を受け取れたそうです。
ある元製造職の50代男性は、退職後の数か月は何も手続きをせず、体調を崩して通院した際に、健康保険に入っていないことに気づきました。国民健康保険の手続きが遅れていたため、保険料をさかのぼって払うことになり、医療費の精算にも手間がかかりました。「期限のあるものから順に片づけるべきだった」と話しています。
よくある質問
Q. 退職後、最初にやるべき手続きは何ですか?
健康保険と年金の切替です。退職日の翌日から14日以内(任意継続は20日以内)が期限です。離職票が届くのを待たずに進められます。
Q. 失業保険は、すぐに受け取れますか?
ハローワークで求職の申し込みをしたあと、待機期間があり、自己都合の場合はさらに給付制限があります。実際の受け取り日は、ハローワークの窓口で、認定日とあわせて確認します。
Q. 失業保険を受け取らずに、すぐ就職する場合は何を手続きしますか?
失業保険の手続きは不要です。健康保険と年金は、入社日までに空白があれば、その間の切替が必要です。入社日と、会社の保険の加入日を確認してください。
実際に退職後の手続きとお金の体験談も取材しています。ご自身の経験を話してみたいという方は取材にご協力ください。


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