自己都合退職で失業保険(基本手当)をもらう場合、通常は1〜3ヶ月の給付制限期間があります。この間は収入がないまま過ごすことになりますが、ハローワークが実施する公共職業訓練(ハロートレーニング)を受講すると、給付制限が解除され、さらに所定給付日数を超えても訓練終了日まで給付が続く仕組みがあります。何がどう変わるのか、制度の仕組みを具体的に確認しておきましょう。
受講指示を受けると給付制限が解除される
自己都合退職の場合、通常は7日間の待期期間に続いて1〜3ヶ月の給付制限期間に入ります。この期間中は基本手当を受け取れません。しかし、ハローワーク(公共職業安定所長)から公共職業訓練等の「受講指示」を受けて訓練に申し込んだ場合、受講指示が出た時点で給付制限が解除され、訓練の開始日から基本手当が支給される扱いになります。
受講指示は、ハローワークの窓口で職業相談を受けた上で、訓練コースの選考(筆記試験や面接がある場合もあります)に通過してから出されます。退職してすぐに申し込めば必ず受けられるわけではなく、コースの開始時期や募集人数によって、実際に受講できるタイミングが前後する点には注意が必要です。
訓練延長給付とは何か
公共職業訓練を受講する場合、もう一つ重要な制度が「訓練延長給付」です。これは雇用保険法第24条に基づく制度で、基本手当の所定給付日数(退職理由や勤続年数によって90日から360日程度まで異なる)を使い切っても、ハローワークの指示で受けている訓練が終わる日までは基本手当の支給が続くというものです。
たとえば所定給付日数が90日の人が、残り給付日数が少ない状態で6ヶ月(180日)の訓練コースに入った場合でも、訓練終了日まで基本手当が支給される計算になります。長期の訓練(最長2年程度のコースまで対応する運用になっています)であっても、この延長給付の対象になる点が、通常の基本手当だけでは得られない大きな違いです。
訓練延長給付は自動的に適用されるものではなく、あくまで「ハローワークの受講指示」があることが前提です。自分で見つけた民間のスクールや資格講座に通う場合は対象外になるため、対象となる訓練かどうかは申し込み前にハローワークで必ず確認してください。
訓練中にもらえるその他の給付
受講指示を受けて訓練に通っている間は、基本手当に加えて次の給付が受けられます。
- 受講手当:訓練に出席した日について日額で支給されるもので、上限となる支給日数が設けられています。
- 通所手当:自宅から訓練施設までの交通費に相当する額が支給されます(上限あり)。
いずれも正確な金額や上限は年度やコースの条件によって異なるため、具体的な数字は管轄のハローワークで確認するのが確実です。なお、途中で訓練を退校した場合はこれらの手当の対象外になり、訓練延長給付も打ち切られる扱いになります。
退職の意思を上司にどう切り出すか、どのタイミングで伝えるかによっても、その後のスケジュールは変わってきます。上司への退職の切り出し方とベストなタイミングも参考にしてください。
給付制限そのものの基本的な仕組みや、制限が短くなる別のケースについては、このサイトの他の記事でも取り上げていますので、合わせて確認しておくと理解が深まります。
訓練中に再就職が決まったらどうなるか
訓練を受けている途中で就職先が決まった場合、訓練延長給付はその時点で終了します。残っていた所定給付日数が一定以上ある場合は、早期の再就職を後押しする「再就職手当」の対象になることもあります。受給条件や申請方法は別途ハローワークで確認できます。訓練を最後まで受けるか、途中で決まった内定を受けるかの判断は、訓練で得られるスキルの内容や、内定先の条件によって変わってくるため、ハローワークの担当者に相談しながら決める人も少なくありません。
そもそも基本手当を受け取るための勤務期間の条件を満たしているかどうかは、訓練の受講指示を受ける前提として確認しておく必要があります。自分の加入期間が条件を満たしているかどうかも、訓練を申し込む前にハローワークの窓口で確認しておくと見通しが立てやすくなります。
対照的な2つのケース
ある元事務職の32歳女性は、自己都合退職後にすぐハローワークへ相談に行き、簿記と経理ソフトを学べる3ヶ月の訓練コースの受講指示を受けました。「給付制限で収入がない期間が続くと聞いていたが、訓練の受講指示が出た時点でその制限がなくなり、想定より早く基本手当を受け取れた」と話しています。訓練で得た知識が面接でも評価され、訓練終了前に再就職先が決まったといいます。
一方、ある元販売職の45歳男性は、退職後にハローワークへは行ったものの、職業訓練という選択肢を特に意識せず、求職活動だけを続けていました。「給付制限期間中は貯金を崩す生活になった。後から同じ時期に退職した知人が訓練を受けて給付制限をなくしていたと知り、情報の差が大きいと感じた」と振り返っています。制度を知っているかどうかで、同じ自己都合退職でも生活の立て方が変わってくるケースです。この男性は、次に相談員と話す機会に職業訓練について尋ねてみたところ、当時の居住地域ではすでに同様のコースの募集が締め切られており、次の開講まで数ヶ月待つ必要があると案内されたといいます。
よくある質問
訓練延長給付を受けるには、どこで申し込めばよいですか
管轄のハローワークの窓口で職業相談を受け、希望する訓練コースの申し込み手続きを行います。選考(筆記試験・面接など)を経て受講指示が出た段階で、給付制限の解除や訓練延長給付の対象になります。
どんな訓練コースがありますか
事務・IT・介護・製造系など、都道府県ごとに実施されるコースの種類は幅があります。コースごとに開講時期や募集期間が決まっているため、退職のタイミングとコースの開始時期が合うかどうかをハローワークで確認する必要があります。
訓練延長給付と「職業訓練受講給付金」は同じ制度ですか
別の制度です。訓練延長給付は雇用保険の基本手当を前提にした延長措置ですが、職業訓練受講給付金は雇用保険を受給できない人(基本手当の受給資格がない人など)を対象にした別の支援制度です。自分がどちらの対象になるかは、ハローワークの窓口で確認してください。
訓練の選考に落ちた場合、給付制限は解除されませんか
受講指示が出るのは選考に通過した後になるため、選考に落ちた場合は通常の給付制限がそのまま適用されます。複数のコースに応募できる場合もあるため、希望するコースが決まったら早めに申し込みのスケジュールを確認しておくことが実質的な対策になります。選考の時期や倍率はコース・地域によって差があるため、興味のあるコースが見つかった段階で早めに情報を集めておくと準備がしやすくなります。
訓練延長給付は ハローワークの受講指示 があることが前提の制度です。自分で選んだ民間スクールに通うだけでは対象にならないため、申し込み前に必ず窓口で確認してください。
実際に公共職業訓練を受講しながら失業保険を受け取った体験談も取材しています。ご自身の経験を話してみたいという方は取材にご協力ください。


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[…] 退職理由によって準備すべきことも変わります。家族の介護が理由で独立を検討している場合は介護離職のタイミングをどう判断するか、退職の切り出し方に迷っている場合は上司への退職の切り出し方とベストなタイミングも参考にしてください。独立前に公共職業訓練の受講を検討している場合は、公共職業訓練を受けると失業保険の給付制限が解除される?訓練延長給付の…で給付制限の解除条件を確認しておくと資金計画の精度が上がります。 […]