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デジタル化に取り残される不安、行政手続き・キャッシュレスとどう向き合うか

2026 10/20
迷っている人へ
2026年11月2日

現役時代は会社のパソコンやシステムに頼りきりで、実は自分ではあまり操作してこなかった、という六十代の人は少なくない。退職して数年のうちに、マイナンバーカードを使った行政手続き、スマートフォンでの各種申請、店頭でのキャッシュレス決済など、身の回りのデジタル化は加速度的に進んでいる。周囲がスマートフォンひとつでこなしていることに焦りを感じ、「自分だけ取り残されているのではないか」という不安を抱える人は多い。その焦りは決して本人だけの問題ではなく、同じ世代の多くの人が同時に直面している変化でもある。この記事では、その不安とどう向き合っていくかを具体的に考えていく。

目次

なぜ退職後にデジタル化の不安が強まるのか

現役時代は職場の若い世代や情報システム部門に頼ることができたが、退職するとその支えがなくなり、行政手続きや買い物の場面で自分だけが対応を迫られる機会が急に増える。加えて、役所の窓口業務や銀行の店頭サービスが縮小し、オンライン申請やアプリでの手続きへの誘導が強まっていることも、置いていかれる感覚を強める要因になっている。マイナンバーカードと健康保険証の一体化、行政手続きのオンライン化、キャッシュレス決済の普及という複数の変化が同時期に押し寄せてきたことも、不安を大きく感じさせる一因だ。

すべてを覚えようとしない

デジタル化への不安の多くは、「世の中の変化すべてについていかなければならない」という思い込みから生まれている。しかし実際に生活する上で必要になる操作は限られており、すべての機能やサービスを網羅的に理解する必要はない。まず自分の生活の中で「これができないと本当に困る」ことは何かを絞り込み、そこから優先順位をつけて取り組む方が現実的だ。

ある元公務員の六十代男性は、退職直後にスマートフォンの新機能や新しいアプリが次々と紹介される様子を見て「全部使いこなさなければ」と考え、かえって手をつけられずにいた。しかし実際に自分が困っていたのは、コンビニで証明書を取得する場面と、通院先での保険証確認の場面だけだったことに気づき、その二つの操作だけを重点的に覚えたところ、生活上の不便はほぼ解消されたという。全体を覚えようとするのではなく、自分の生活に必要な範囲を先に見極めることが、不安を実務的な行動に変える第一歩になる。

まず何を覚えれば生活に困らないか

優先順位をつける際は、頻度と影響の大きさで考えると整理しやすい。マイナンバーカードに関しては、コンビニでの住民票や印鑑登録証明書の取得、健康保険証としての利用方法の二つを押さえておけば、日常のほとんどの場面はカバーできる。キャッシュレス決済については、すべての決済手段を使い分ける必要はなく、普段利用する店舗でよく使われている一つの方法に絞って慣れることから始めれば十分だ。行政サービスのオンライン化についても、確定申告や各種証明書の申請など自分が実際に利用する手続きだけを対象にすれば、範囲はぐっと狭くなる。たとえばe-Taxでの確定申告のように、自分が毎年使う手続きに絞って一度覚えてしまえば、翌年以降は同じ手順を繰り返すだけで済む。マイナンバーカードやキャッシュレス決済そのものの基本操作についてはマイナンバーカード・スマホ決済の基本で具体的に整理しているので、操作面を詳しく確認したい場合はあわせて読んでおくとよい。

スマホ教室を活用する

操作方法を独学で覚えようとすると、わからない箇所でつまずいた時に先に進めなくなりやすい。多くの自治体では公民館や地域包括支援センターを会場にしたスマートフォン教室を無料または低料金で開催しており、シニア向けのパソコン・スマホ教室を利用すれば、実機を使いながら操作の手順を一つずつ確認できる。携帯電話ショップでも契約者向けの無料相談会を定期的に開いており、マイナポータルの設定やキャッシュレス決済アプリの初期設定など、具体的な用件を伝えて予約すれば、その場で操作を一緒に確認してもらえることが多い。ある元自営業の六十代男性は、キャッシュレス決済アプリの設定でつまずいた際に携帯ショップの予約枠を取り、「このアプリで支払いができるようにしたい」という一点だけを伝えて訪れたところ、30分ほどで初期設定と使い方の確認まで終えられたという。事前に聞きたいことを一つか二つに絞ってから相談窓口を訪ねると、限られた時間の中でも要点を押さえて教えてもらいやすい。公民館の生涯学習講座にもデジタル関連の講座が組み込まれるようになってきており、決まった曜日に通う予定をつくることが、習得のペースを保つ助けにもなる。

焦りの背景にある比較の心理

デジタル化への不安が強まる背景には、孫や子どもがスマートフォンを軽やかに操作する姿と自分を無意識に比べてしまう心理がある。ある元教員の六十代女性は、孫が幼稚園児の頃からタブレットを自在に使いこなしている様子を見て「自分は同じことをできない」と落ち込んでいたという。しかし孫にキャッシュレス決済アプリの使い方を教わったところ、操作自体は思っていたよりずっと単純で、複雑に感じていたのは慣れていないことへの心理的な抵抗の方が大きかったと気づいたと話す。若い世代は生まれた時から機器に触れているため覚えるスピードが速いだけで、操作の難しさそのものは年齢によって大きく変わるものではない。

比較の対象を「同世代で同じように学び始めている人」に切り替えると、不安の感じ方も変わってくる。スマホ教室や携帯ショップの相談会には、同じように六十代・七十代になって初めて本格的に操作を覚え始めた参加者が集まっており、そこで得られる「自分だけではない」という実感は、孫や若い同僚との比較では得にくいものだ。

完璧を目指さない

デジタル機器の操作は、一度で完璧に覚えるものではなく、使いながら少しずつ体に染み込ませていくものだ。若い世代でも新しいアプリの使い方につまずくことは日常的にあり、六十代で操作に時間がかかること自体は特別なことではない。困った時に人に聞ける窓口をいくつか把握しておくことの方が、すべてを自力で完璧にこなせるようになることよりも実用的な備えになる。操作でつまずくたびに窓口へ足を運ぶことを恥ずかしいと感じる必要はなく、聞きに行くという行動そのものが、デジタル化に置いていかれることへの実質的な歯止めになる。

よくある質問

Q. スマホ教室に一人で参加するのは気が引けます。

A. 実際の参加者は同世代がほとんどで、同じようにつまずきながら学んでいる人ばかりだ。むしろ講座の休憩時間に参加者同士で操作のコツを教え合う場面も多く、一人で参加した人が講座をきっかけに顔なじみができるケースもよくある。

Q. マイナンバーカードとキャッシュレス決済、どちらから覚えるべきですか。

A. 自分の生活で困る頻度が高い方から着手する方が実感を得やすい。証明書取得や通院の機会が多い人はマイナンバーカード関連から、日常の買い物が多い人はキャッシュレス決済から始めると、覚えた分だけ生活が楽になる実感を得やすい。

Q. 覚えたことをすぐ忘れてしまいます。

A. 使う頻度が低い操作ほど忘れやすいのは自然なことだ。手順をメモに残しておき、必要になった時にすぐ見返せるようにしておくと、毎回ゼロから思い出す負担が減る。

Q. スマートフォン自体をまだ持っていません。今から始めても間に合いますか。

A. 携帯電話ショップでは、これから初めて持つ人向けの契約相談と基本操作の説明をセットで行っているところが多い。契約時にシニア向けの操作説明会がある店舗を選べば、機種選びから基本操作の習得まで一連の流れで進められる。

実際にデジタル化への不安との向き合い方の体験談も取材しています。ご自身の経験を話してみたいという方は取材にご協力ください。

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  • 独立時にオフィスを借りるか自宅開業にするかの比較
  • マイナンバーカード・スマホ決済、今さら聞けない基本

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コメント

コメント一覧 (1件)

  • マイナンバーカード・スマホ決済、今さら聞けない基本 - 退職後 より:
    2026年11月2日 12:02 PM

    […] マイナンバーカードとスマートフォン決済は、今や日常生活の中で避けて通れない存在になった。周囲では当たり前のように使われているものの、いざ自分で調べようとすると専門用語ばかりで途中で諦めてしまった、という人は多いのではないか。デジタル化そのものへの焦りや不安との向き合い方はデジタル化に取り残される不安との向き合い方で取り上げているので、ここでは不安の中身に立ち入らず、マイナンバーカードとキャッシュレス決済について「今さら聞けない」基本の操作と考え方を、最初の一歩から具体的に整理する。 […]

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