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親の介護と仕事を両立できなくなった時の判断

2026 10/20
介護・病気・家庭都合の退職
2026年10月24日

親の介護が始まると、最初は「仕事を続けながら何とかなる」と考える人が多い。しかし通院の付き添い、施設探し、夜間の見守りなどが積み重なると、両立の限界が見えてくる瞬間が訪れる。介護を理由とした退職は、一度決めると収入面・キャリア面での影響が長く続くため、感情だけで判断せず、使える制度や相談窓口を把握したうえで決断することが欠かせない。この記事では、両立が難しくなったと感じたときにまず確認すべき制度と、実際に退職・継続を選んだ二人の体験をもとに、判断の分かれ目を整理する。

目次

介護と仕事の両立が崩れるサイン

親の要介護度が上がり、デイサービスや訪問介護だけでは生活が成り立たなくなると、家族による対応の比重が急に増える。具体的には、平日の急な呼び出しが月に数回以上発生する、夜間の対応で睡眠不足が続く、自分自身の通院や休養の時間が取れなくなる、といった状態が続く場合は、両立の限界が近いサインとされる。この段階で一人で抱え続けると、介護者自身が体調を崩し、結果的に仕事も介護も立て直しにくくなるケースが少なくない。

地域包括支援センターへの相談が最初の一歩になる

多くの人がまず頼るべき窓口は、各市区町村に設置されている地域包括支援センターである。ここでは介護保険制度の利用方法、要介護認定の申請手続き、ケアマネジャーの紹介までを一括して相談できる。要介護認定の結果が出るまでには申請から概ね30日前後かかることが多く、認定前でも暫定的にサービスを利用できる制度があるため、早めに相談することで利用できる選択肢が広がる。

退職の前に確認すべき公的な休業制度

介護休業と介護休暇の違い

育児・介護休業法に基づく介護休業は、対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限に分割して取得できる制度である。一方、介護休暇は年5日(対象家族が2人以上の場合は年10日)取得でき、通院の付き添いや短時間の対応に使いやすい。これらは無給が原則だが、雇用保険から介護休業給付金が支給される場合があり、休業前の賃金の一定割合が給付される。退職を決める前に、勤務先の人事担当者やハローワークで給付条件を確認しておくことで、収入を保ちながら体制を整える時間を確保できる可能性がある。

自分自身が体調を崩した場合の傷病手当金

介護疲れから介護者本人がうつ状態や不眠症などを発症し、働けなくなるケースもある。健康保険に加入していれば、病気やケガで連続して休業した場合に傷病手当金を受け取れる制度があり、休業4日目から最長1年6か月、給与の約3分の2相当額が支給される。退職してしまうとこの制度の対象から外れやすくなるため、まずは休職制度を利用できないか、産業医や人事と相談する順序が現実的である。

体験談:正反対の選択をした二人

すぐに退職を決めた40代女性のケース

ある元事務職の40代女性は、同居していた母親の認知症が進み、火の不始末や徘徊が続いたことから、半年後には退職を選んだ。介護休業や介護休暇の制度は知っていたものの、「期限が来たらまた同じ問題に戻る」という不安が強く、先に退職して生活リズムを整える方を選んだという。退職後は収入が大きく下がり、国民健康保険への切り替えや国民年金の支払いなど手続きも一気に増えたが、本人は「中途半端な状態で両立を続けるより、気持ちは楽になった」と話している。

制度を使い切って継続した50代男性のケース

一方、ある元営業職の50代男性は、父親の介護が始まった際にまず地域包括支援センターに相談し、ケアマネジャーと一緒に訪問介護とデイサービスを組み合わせた体制を構築した。会社には介護休業制度があり、まとめて取得せず3回に分けて使うことで、急な入院や施設探しのタイミングに合わせて休みを取得できたという。結果として退職はせず、時短勤務制度も併用しながら5年以上両立を続けている。本人は「最初に制度を全部調べておいたことで、選択肢が増えた」と振り返る。

介護保険サービスや休業制度を使わずに退職すると、後から 同じ介護体制を一人で担い続ける ことになりやすく、収入面・体力面の両方で負担が長引く傾向がある。

勤務先への相談と働き方の調整

人事担当者・上司への伝え方

介護の状況を抱えていることを勤務先に伝えるかどうか迷う人も多いが、介護休業や介護休暇、時短勤務といった制度は、勤務先がその事情を把握していなければ利用の申請自体が進まない。人事担当者や上司に伝える際は、現在の介護度、利用している介護保険サービス、今後想定される対応(通院の付き添い頻度や入院の可能性など)を具体的に説明すると、必要な制度を具体的に案内してもらいやすくなる。育児・介護休業法では、こうした制度の利用を理由に不利益な扱いをすることが禁止されているため、制度の利用を申し出ること自体を過度に心配する必要はない。

テレワークや勤務形態の変更という選択肢

勤務先によっては、介護を理由にテレワークや勤務地の変更、部署異動などを認めている場合がある。通院や介護サービスの利用時間に合わせて勤務時間を調整できれば、退職せずに両立を続けられる可能性が広がる。こうした制度が明文化されていない企業でも、個別に相談することで対応してもらえるケースがあるため、退職を決める前に一度、具体的な働き方の変更について相談しておく価値はある。

退職を選ぶ場合に整理しておきたいこと

それでも退職という選択自体が間違いというわけではない。介護の状況や家族構成、勤務先の制度の充実度によって最適な判断は変わる。退職する場合は、失業保険の受給条件や給付制限期間、国民健康保険・国民年金への切り替え手続き、退職後の収入計画を事前に確認しておく必要がある。特に自己都合退職となる場合、給付までに時間がかかることがあるため、退職日をいつにするかはハローワークでの相談も踏まえて決めたい。

よくある質問

介護休業中に給与はもらえますか

勤務先の制度によって異なるが、介護休業自体は無給とする企業が多い。その代わりに雇用保険から介護休業給付金が支給される場合があり、対象かどうかは勤務先またはハローワークで確認できる。

要介護認定が出る前でも介護保険サービスは使えますか

要介護認定の結果が出る前でも、暫定的にケアプランを作成してサービスを利用できる仕組みがある。詳しい手続きは地域包括支援センターまたは担当のケアマネジャーに確認するとよい。

介護を理由に退職した場合、障害年金は関係ありますか

障害年金は本人が一定の障害状態にある場合の制度であり、介護離職そのものとは直接結びつかない。ただし介護疲れから介護者本人が精神疾患などを発症し、長期にわたり働けない状態になった場合には、障害年金の対象となる可能性があるため、年金事務所や主治医に相談する余地がある。

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親の介護と仕事の両立が難しくなった場合、離職の前後で確認しておきたい制度や手続きは複数あります。離職する前には介護休業制度を使って退職を回避する方法や介護離職のタイミングをどう判断するかを確認しておくと選択肢が広がります。実際に介護離職した後は介護離職後に再就職するための準備、病気が理由で退職した場合は傷病手当金の申請方法、メンタル面の不調が理由の場合はうつ病による休職から退職・復職への道筋も参考になります。

実際に介護離職を経験した方の体験談も取材しています。ご自身の経験を話してみたいという方は取材にご協力ください。

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