通販需要の拡大にともない、物流の配送センターでは仕分けや検品、梱包といった軽作業パートの求人が慢性的な人手不足に陥っている。重い荷物を運ぶイメージが先行しがちだが、実際には5キロ以下の軽量な商品を扱う部署や、座って行うピッキング・検品作業もあり、体力に不安がある定年退職者でも働きやすい現場が用意されている。求人票だけでは業務の細かい違いが分かりにくいため、職場見学を活用して実際の作業風景を確認する人も増えている。ここでは配送センターの軽作業の実態と、時給相場、シフトの組み方を具体的に紹介する。
配送センターの軽作業の内容
配送センターの仕事は大きく「仕分け」「ピッキング」「検品・梱包」の3つに分かれる。仕分けは、届いた荷物を配送先の地域ごとにベルトコンベアやカゴ台車に振り分ける作業で、立ち仕事が中心になる。ピッキングは、注文リストに沿って倉庫の棚から商品を集める作業で、1日の歩数が1万歩を超えることもあり、万歩計をつけて自分の運動量を確認しながら働くベテランスタッフも見られる。検品・梱包は、集めた商品に傷や不良がないかを確認し、箱詰めして発送準備をする作業で、座って行える現場も多い。
荷物の重さと配属の目安
多くの配送センターでは、扱う荷物の重さによって担当エリアを分けている。5キロ以下の軽量商品を扱う「軽量エリア」は、シニア層や女性スタッフの配属が多く、10キロを超える家電や飲料などの「重量エリア」は、体力に自信がある若手が担当する傾向にある。面接や職場見学の際に、どのエリアに配属されるかを確認しておくと、体力面でのミスマッチを避けやすい。
時給相場とシフトの実態
時給は地域によって差があるが、一般的な軽作業で1000円から1200円程度、大手通販会社の物流センターでは1200円から1400円程度と、比較的高めの水準になっていることが多い。早朝便に対応するため6時からの早朝シフトや、逆に夜間の出荷準備を担当する深夜シフトには、それぞれ割増賃金がつく。週2日・1日4時間からのシフトを受け付ける現場も多く、フルタイムで働く自信がない人でも段階的に勤務日数を増やしていける柔軟さがある。
繁忙期の稼ぎどき
年末年始やセール時期など、通販の注文が集中する時期は配送センターの繁忙期にあたり、この時期だけ時給が100円から200円程度上乗せされる求人も多い。短期の繁忙期スタッフとして12月だけ集中的に働き、まとまった収入を得る人もいる。繁忙期は稼働時間が長くなりがちなため、体力面での見極めが必要になるが、1〜2週間程度の短期契約であれば体への負担を確かめながら試すこともできる。
採用の流れと必要な準備
求人はハローワークのほか、物流業界に特化した求人サイトや、大手通販会社の物流拠点が独自に募集を行っている。面接では特別な資格や経験は問われず、健康状態や希望する勤務時間帯を確認される程度で、比較的採用のハードルが低い仕事だといえる。書類選考だけで採用が決まる現場も多く、応募から勤務開始までの期間が短いことも特徴のひとつだ。採用が決まると、初日にオリエンテーションがあり、安全な荷物の持ち方や、台車の操作方法、ハンディスキャナーの使い方などを教えてもらえる。バーコード読み取りの操作は数回練習すればすぐに慣れるという声が現場スタッフから多く聞かれる。
元スーパー店員の転身例
ある元スーパーマーケットの品出し担当だった六十三歳女性は、定年退職後に地元の通販物流センターで検品・梱包のパートを始めた。立ち仕事に慣れていた経験が役立ち、初日から大きな戸惑いなく作業に入れたという。勤務は週4日、1日5時間で月収は約9万円。「スーパーの品出しと似た感覚で、決まった手順を淡々とこなす仕事は自分に合っている」と話しており、繁忙期には希望してシフトを増やし、月収を上乗せしているという。同じ現場で働く同世代のスタッフと休憩時間に世間話をするのも楽しみのひとつになっており、退職後の孤立感が和らいだとも話している。
他の軽作業系の仕事との比較
配送センターの軽作業はシニアの配達員・ギグワークと混同されることがあるが、配達員は屋外を自転車やバイクで移動しながら荷物を届ける仕事であるのに対し、配送センターの軽作業は倉庫内での作業が中心という違いがある。天候に左右されず、屋内で完結する仕事を希望する人には配送センターの軽作業が向いている。また、清掃業務のパートと同様に、特別な資格がなくても始められる点も共通している。同じように特別な資格がなくても始めやすい仕事としては、マンション管理員という仕事や警備員としての再就職も人気がある。一方、電話対応が得意な人にはコールセンターでのシニア採用という選択肢もあり、座り仕事を中心にしたい人には事務・受付パートへの再就職も比較検討の対象になる。
収入と働き方の調整
配送センターの軽作業は勤務日数や時間の調整がしやすいため、年収別の退職後シミュレーションを参考に、扶養の範囲内で働くか、繁忙期だけ集中して稼ぐかを事前に決めておくとよい。複数の物流センターを掛け持ちする人もおり、日雇い・単発バイトの働き方を組み合わせて、繁忙期の短期案件だけをこなすという柔軟な働き方も可能だ。年金の受給状況に応じて、シフトの入れ方を調整する人も多い。高年齢雇用継続給付の対象になるかどうかもあわせて確認しておくと、契約更新時の収入計画が立てやすくなる。
大手物流拠点の求人の特徴
大手通販会社やヤマト運輸、佐川急便といった配送会社が運営する大規模な物流センターでは、シニア層の採用に積極的な拠点が増えている。冷暖房完備の屋内作業場であることが多く、空調が効いた環境で年間を通して働きやすい点が特徴だ。台車やコンベアを活用した搬送設備が整っており、重い荷物を人力だけで運ぶ場面は限られている。安全教育の一環として、正しい持ち方や腰への負担を減らす姿勢について研修が行われる拠点も多く、未経験者でも安心して始めやすい環境が整っている。
けが防止のための工夫
配送センターでは、腰痛や転倒といった労働災害を防ぐため、定期的なストレッチタイムを設けたり、床の滑り止め対策を施したりする取り組みが進んでいる。作業前後の準備運動を習慣にしているベテランスタッフも多く、無理な姿勢での作業を避けることが長く働き続けるコツになっている。膝や腰に持病がある場合は、採用担当者に事前に伝えておくと、座って行う検品作業など体への負担が少ない持ち場に配置してもらいやすい。定期健康診断の結果をもとに、担当部署を変更してくれる会社もある。
よくある質問
Q. 重い荷物を運ぶ体力に自信がありませんが大丈夫でしょうか。
A. 多くの配送センターでは、扱う荷物の重さによって担当エリアを分けている。面接時に体力面の不安を伝えておくと、5キロ以下の軽量商品を扱う部署に配属してもらえることが多い。
Q. 長時間立ちっぱなしの仕事ですか。
A. 仕分けやピッキングは立ち仕事が中心だが、検品・梱包は座って行える現場もある。休憩時間が細かく設けられている職場も多く、体への負担を抑えながら働ける環境が整いつつある。
Q. 繁忙期だけの短期勤務は可能ですか。
A. 年末年始やセール時期に合わせた短期スタッフの募集は多く、1か月から2か月程度の期間限定契約で働ける求人が豊富にある。短期集中で収入を得たい人には向いている働き方だ。ただし繁忙期は稼働日数が多くなりやすいため、週の勤務日数の上限をあらかじめ決めたうえで契約を結ぶ人が多い。
実際に配送センターの軽作業で働いた元会社員の体験談も取材しています。ご自身の経験を話してみたいという方は取材にご協力ください。


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