会社を辞めると決めたとき、生活を支える雇用保険の失業給付がいつから受け取れるのかは誰もが気になるところです。ところが自己都合で退職した場合、会社都合退職とは違って給付が始まるまでに長い空白期間が生じます。この記事では、自己都合退職における給付制限期間の仕組みと、その間をどう乗り切るかを具体的に解説します。
自己都合退職と給付制限期間の基本
雇用保険の基本手当(いわゆる失業保険)は、離職後にハローワークで受給資格の認定を受けてから支払われます。会社都合退職(解雇や倒産など)の場合は、7日間の待期期間を終えればすぐに給付対象になりますが、自己都合退職の場合はそこに原則2ヵ月の給付制限期間が加わります。つまり、離職票を提出してから実際にお金が口座に入るまで、合計で3ヵ月近くかかるケースが多いという点を押さえておく必要があります。
この給付制限は、自己の意思で離職した人が安易に離職を選ばないようにするための仕組みとされていますが、転職活動中の生活費を直接圧迫する現実的な問題でもあります。過去5年以内に2回以上自己都合退職で給付制限を受けた人は、制限期間が3ヵ月に延びる点も注意が必要です。
給付制限期間中にできること
給付制限期間中であっても、ハローワークでの求職活動や職業訓練の申し込みは可能です。むしろこの期間に職業訓練の受講を開始すると、給付制限が解除され、訓練期間中は給付が受けられる制度もあります。管轄のハローワークの窓口で、自分の離職理由と該当する制度について確認しておくと、空白期間の過ごし方が変わってきます。
給付制限中の生活費をどう確保するか
給付制限期間中は収入が完全に途絶えるため、退職前にある程度の貯蓄を確保しておくことが現実的な対策になります。目安としては、生活費の3ヵ月分程度を手元に残しておくと、給付制限期間と初回の給付までの間を乗り越えやすくなります。住居費や保険料など固定費が大きい場合は、国民健康保険や国民年金の減免制度についても自治体の窓口で条件を確認しておくとよいでしょう。
離職票の交付が遅れると、受給資格の認定自体が遅れ、結果的に給付制限期間が実質的に延びてしまうことがあります。離職票は退職後できるだけ早くハローワークに提出することが給付開始を早める鍵になります。
体験談から見る給付制限期間の実際
ケース1:事前に備えていた30代男性
ある元システムエンジニアの30代男性は、人間関係の悩みから自己都合で退職しました。退職前の半年間、毎月の生活費を見積もり直し、3ヵ月分の生活資金を別口座に確保してから退職に踏み切ったといいます。給付制限期間中はハローワークに通いながら職業訓練の情報を集め、2ヵ月目からは訓練受講によって給付制限の扱いが変わり、想定より早く手当を受け取れたと話しています。計画的に準備していたことで、給付制限期間の不安はそれほど大きくなかったそうです。
ケース2:準備不足で苦労した40代女性
一方、ある元販売職の40代女性は、職場でのトラブルが重なり、ほぼ貯蓄のない状態で自己都合退職を選びました。離職票の到着が予想より遅れたこともあり、受給資格の認定自体がずれ込み、結果的に退職から約4ヵ月間、収入のない状態が続いたといいます。生活費を切り詰めるためにクレジットカードの支払いを一時的に遅らせるなど、家計のやりくりに苦労したと振り返っています。この女性は、退職前にもう少し情報を集めてから動けばよかったと感じているそうです。
退職前に確認しておきたい手続きの順序
自己都合退職であっても、雇用保険の基本手当を受け取るためには一定の手続きを踏む必要があります。まず退職日が決まったら、会社から離職票(離職票-1、離職票-2)が発行されるタイミングを人事・総務の担当者に確認しておきます。離職票は退職後おおむね10日前後で会社から発送されるのが一般的ですが、会社によって対応の速さに差があるため、退職前に見込みの時期を聞いておくと計画が立てやすくなります。
離職票を受け取ったら、住所地を管轄するハローワークに出向き、受給資格の申請を行います。申請の際には、離職票のほか雇用保険被保険者証、マイナンバーが確認できる書類、本人名義の銀行口座の情報、写真などが必要になります。持ち物に不足があると再度来所を求められ、認定までの日数がさらに延びることもあるため、事前に管轄ハローワークの案内を確認しておくと安心です。
受給資格が認定されると、7日間の待期期間に続いて自己都合退職の場合は給付制限期間に入ります。この間は「雇用保険説明会」への参加や、約4週に1回の失業認定日にハローワークへ出向く必要があり、求職活動の実績報告を怠ると給付が受けられなくなる点にも注意が必要です。
給付制限期間中の求職活動と訓練受講
給付制限期間は収入がない一方で、転職活動そのものを進める期間として活用できます。ハローワークでは職業相談員による面談や職業適性の検査、履歴書・職務経歴書の書き方指導などを受けられます。また、各都道府県が実施する職業訓練(ハロートレーニング)に申し込み、受講が認められれば給付制限期間中でも訓練期間中は基本手当に相当する給付が行われる仕組みがあります。訓練内容は事務系から介護、IT系まで幅が広く、次の仕事につながる技能を身につけながら生活費の不安を減らせる点がこの制度の特徴です。 給付制限の解除後に受けられる「訓練延長給付」の仕組みや、訓練中にもらえる受講手当・通所手当については公共職業訓練を受けると失業保険の給付制限が解除される?訓練延長給付の仕組みで詳しく解説しています。
ただし訓練の開始時期は年に数回のコースごとに決まっているため、退職のタイミングと訓練の募集スケジュールが合わない場合もあります。管轄のハローワークで直近の開講予定を確認し、給付制限期間とどのように組み合わせられるかを早めに相談しておくことが、空白期間を短くする実質的な対策になります。
よくある質問
給付制限期間中にアルバイトをしてもよいですか
短時間のアルバイトであれば可能な場合がありますが、収入額や労働時間によって受給資格や給付額に影響が出ることがあります。働き方を決める前に、管轄のハローワークで自分のケースに当てはめて確認することが必要です。
給付制限期間は短縮できますか
正当な理由がある自己都合退職(病気や家族の介護、会社側の問題行為など)と認められれば、会社都合退職と同様の扱いになり、給付制限自体が付かない場合があります。離職理由の判定はハローワークが離職票の記載内容などをもとに行うため、該当しそうな事情がある場合は窓口で詳しい事情を伝えることが重要です。
給付制限期間中の年金や保険料はどうなりますか
給付制限期間中も国民健康保険や国民年金への加入・支払いの義務は続きます。収入が大きく下がった場合は、国民健康保険の減免や国民年金の免除・納付猶予の制度があるため、正確な条件や減免額は市区町村の窓口や年金事務所で確認してください。
実際に自己都合退職後の給付制限期間を過ごした体験談も取材しています。ご自身の経験を話してみたいという方は取材にご協力ください。


コメント
コメント一覧 (4件)
[…] 転職活動には「在職中に並行して進める」パターンと、「先に退職してから集中的に取り組む」パターンがあります。在職中であれば収入が途切れないまま活動できるという安心感がありますが、面接の調整に時間がかかりやすく、現職の業務との両立で疲弊しやすい面もあります。一方、退職後に活動する場合は時間に余裕が生まれますが、雇用保険(失業保険)の受給開始までに自己都合退職だと給付制限期間が設けられる場合があるため、生活費の見通しを事前に立てておく必要があります。 […]
[…] 会社都合退職と認定されると、給付制限期間(原則2ヵ月)が付かず、7日間の待期期間を終えればすぐに基本手当の対象になる点が大きな違いです。さらに、所定給付日数が自己都合より長くなる場合もあり、退職後の生活資金の確保という面でも差が生じます。自己都合退職の場合の給付制限期間について詳しく知っておくと、両者の違いがより明確になります。 […]
[…] 自己都合退職の場合の失業保険の給付制限期間 […]
[…] 退職願・退職届の提出とあわせて、退職後の生活に関わる制度についても早めに情報を集めておく必要があります。自己都合での退職の場合、雇用保険の給付制限期間が設けられ、ハローワークでの手続き後すぐには基本手当が支給されない点に注意が必要です。給付制限の具体的な期間や条件は離職理由や過去の受給歴によって異なるため、正確な内容は管轄のハローワークの窓口で確認することになります。退職日が確定した段階で、離職票の発行時期についても会社の担当者に確認しておくと、その後の手続きが滞りにくくなります。あわせて、会社員として加入していた厚生年金から国民年金への切り替えが必要になる場合があり、次の就職先が決まっていない場合は、退職後14日以内に住所地の市区役所または町村役場で手続きを行うことになっています。年金の種類や切り替えの要否は個々の状況によって異なるため、不明な点があれば年金事務所に直接問い合わせると確実です。 […]