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家庭の防災備蓄・非常持ち出し袋の準備

2026 9/28
生活
2026年10月3日

現役時代は会社のオフィスにいる時間が長く、自宅の防災対策は配偶者や子ども任せだったという人も少なくないでしょう。定年後は日中も自宅にいる時間が増えるぶん、地震や台風などの災害が起きたとき、真っ先に対応する当事者になります。体力の変化や持病の薬の管理など、若い世代とは違う備えも必要です。ここでは家庭でそろえる備蓄の量の目安、非常持ち出し袋の中身、持病の薬をどう備えるか、無駄なく備蓄を回すローリングストックの方法、そして近隣との連携まで、実際に準備を進める順番で整理します。

目次

備蓄の基本:最低3日分、推奨は1週間分

内閣府の防災担当や農林水産省が示す目安では、大規模災害発生後は物流や給水が止まり、支援物資が行き届くまでに数日かかることを想定して、最低3日分、可能であれば1週間分の食料・飲料水を家庭で備えることが推奨されています。飲料水は1人1日3リットルが目安で、1週間分なら大人2人世帯で42リットル、2リットルペットボトル21本分になります。食料も同様に、主食(米・レトルトご飯・乾麺)、主菜(缶詰・レトルト食品)、副菜(乾物・野菜ジュース)を組み合わせて1人1日3食×7日分、合計21食分を目安に用意します。水や食料の置き場所は床下収納やクローゼットの一角など、日常生活の動線を邪魔しない場所にまとめておくと、いざというときに取り出しやすくなります。

非常持ち出し袋と自宅備蓄の役割分担

「非常持ち出し袋」と「自宅の備蓄」は目的が異なります。非常持ち出し袋は避難所へ移動する際に持ち出す最小限の装備で、両手が使えるリュック型にまとめ、1人で背負える重さ(目安は体重の10〜15%以内)に収めるのが基本です。中身は懐中電灯、携帯ラジオ、モバイルバッテリー、乾電池、軍手、ホイッスル、マスク、簡易トイレ、常備薬、現金(小銭を含む)、健康保険証や運転免許証のコピー、そして1〜2日分の水と食料です。一方、自宅にとどまる「在宅避難」を想定した備蓄は、玄関ではなくキッチン周りや納戸にまとめて置き、量を優先して1週間分をそろえます。定年後で自宅にいる時間が長い世帯ほど在宅避難になる可能性が高いため、持ち出し袋よりもむしろ自宅備蓄の充実に力を入れる考え方も理にかなっています。

持病の薬をどう備えるか

年齢を重ねるほど、血圧やコレステロール、糖尿病などの薬を毎日服用している人が増えます。災害時にかかりつけ薬局や病院がすぐに機能しない場合に備え、お薬手帳のコピーまたは写真をスマートフォンに保存しておくと、避難先の医療機関でも同じ薬を処方してもらいやすくなります。可能であれば主治医に相談し、通常の処方に数日分の余裕を持たせる形で薬を確保しておくと安心です。持病があるとわかるよう、お薬手帳や服薬情報を非常持ち出し袋の目立つポケットに入れておくと、意識がはっきりしない状況でも周囲が正しく対応しやすくなります。血圧計や補助具など日常的に使っている医療機器がある場合は、電池や予備バッテリーも忘れずに備蓄に加えましょう。

ローリングストックで備蓄を無駄にしない

備蓄食料の多くは賞味期限が1〜5年程度で、買ったまま棚の奥にしまい込むと、気づいたときには期限切れになっていることがあります。これを防ぐのが「ローリングストック」という考え方で、普段の食事でも食べられるレトルト食品や缶詰、乾麺を少し多めに買い置きし、古いものから順に食べて減った分を買い足していく方法です。

月に一度、備蓄の棚を確認して期限が近いものから献立に組み込む日を決めておくと、災害用の特別な食品を新たに買い足す手間もなく、常に一定量の備蓄を保てます。ある68歳の夫婦は、毎月第一日曜日を「備蓄チェックの日」と決め、賞味期限が3か月以内に迫った缶詰やレトルト食品をその週の食事に使う習慣にしているそうです。特別なことをしなくても備蓄が古くならず、無理なく続けられていると話していました。

体力の変化を踏まえた避難計画

現役時代と比べて長距離の歩行や重い荷物を持っての移動がつらくなった場合、非常持ち出し袋は重さが左右に偏らないリュックタイプを選び、両手が自由に使えるようにしておくことが基本です。持病で杖や歩行器を使っている場合は、避難経路にある段差や階段を事前に歩いて確認し、遠回りでもスロープのある経路を把握しておくと当日の負担を減らせます。避難所までの距離が長い、あるいは足腰に不安がある世帯は、自治体が発行する「福祉避難所」の指定状況も併せて確認しておくとよいでしょう。福祉避難所は一般の避難所よりバリアフリー設備が整っており、事前登録が必要な自治体もあるため、市区町村のホームページで対象条件を調べておくと安心です。停電時に情報を得る手段として、乾電池式または手回し充電式のラジオを1台備えておくと、スマートフォンの充電が切れた後も気象情報や避難指示を確認できます。

近隣・自治会との連携を備えておく

大規模災害では公的な救助が到着するまでに時間がかかることが多く、初期の安否確認や助け合いは近隣住民同士で行うことになります。自治会・町内会に加入している場合は、地域の防災訓練や炊き出し訓練に一度でも参加しておくと、災害時の避難場所や役割分担が具体的にイメージできます。特に一人暮らしの高齢者や体力に不安のある近隣住民がいる場合、日頃から挨拶を交わしておくことで、災害時の安否確認がスムーズになります。市区町村によっては自治体の支援制度の一環として要配慮者名簿への登録制度を設けており、避難時に手助けが必要な人を事前に自治体や自治会で共有できる仕組みもあります。見守りサービスを利用している一人暮らしの親や親戚がいる場合は、災害時の安否確認手段としても機能するため、契約内容を確認しておくとよいでしょう。日頃の家事の分担を家族内で共有しておくことも、災害時に誰が何を担当するかを決める土台になります。

よくある質問

Q. 備蓄品はどこに置くのが安全ですか

A. 就寝中の地震を想定し、寝室に大量の物を置くのは避け、キッチン脇の収納や納戸など、家具の転倒に巻き込まれにくい場所に分散して置くと安全性が高まります。重い水のケースは床に近い低い位置にまとめましょう。

Q. カセットコンロは備蓄に含めるべきですか

A. 電気・ガスが止まった際の調理手段として、カセットコンロとガスボンベ(1人1週間あたり6本程度が目安)は備蓄に含めておくと、温かい食事を用意できて生活の質が大きく変わります。

Q. ペットがいる場合の備えは何が違いますか

A. ペット用の水・フード・トイレ用品も1週間分を目安に用意し、ケージやリードも持ち出せるようにしておきましょう。避難所によってはペット同伴避難のルールが異なるため、お住まいの自治体の方針を事前に確認しておくと安心です。

Q. 離れて暮らす親の家の備蓄はどう確認すればよいですか

A. 帰省のたびに水や食料の賞味期限をまとめてチェックし、切れているものだけ買い足す形にすると負担が少なく続けられます。電話やビデオ通話で備蓄の置き場所を一緒に確認しておくと、離れていても状況を把握しやすくなります。

備えは一度そろえて終わりではなく、賞味期限の確認や家族間の役割の見直しを続けてこそ機能します。実際に定年後の防災備蓄を見直した方の体験談も取材しています。ご自身の経験を話してみたいという方は取材にご協力ください。

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