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五十肩・四十肩のセルフケアと整形外科での治療の流れ

2026 10/20
生活
2026年10月23日

定年退職後に腕が肩より上に上がらない、シャツの袖に腕を通すだけで肩に激痛が走るといった症状に悩まされる60代は少なくありません。五十肩(肩関節周囲炎)は40代から60代にかけて発症しやすく、加齢による肩関節周辺の組織の変性が主な原因とされています。現役時代は忙しさに紛れて放置していた肩の違和感が、退職後に時間ができたことでかえって気になり始めるという声もよく聞かれます。ここでは60代の定年退職者に向けて、五十肩・四十肩の症状の見分け方と、自宅でできるセルフケアの具体的な方法を紹介します。

目次

五十肩の症状と経過の特徴

五十肩は炎症期、拘縮期、回復期という3つの段階を経て進行するのが典型的なパターンです。炎症期は夜間に肩がズキズキと痛み、寝返りを打つだけで目が覚めるほどの痛みを伴うことがあります。この時期に無理に動かすとかえって炎症が悪化するため、安静を優先する時期です。拘縮期に入ると激しい痛みは落ち着く一方、肩関節が硬くなって腕を上げる、後ろに回すといった動作が制限されます。回復期になると徐々に可動域が戻っていきますが、発症から回復まで半年から1年半程度かかることも珍しくありません。退職後に体を動かす時間が増えたことで違和感に気づく人も多く、趣味のサークル探しを検討している方は趣味サークルの探し方で体への負担が少ない活動を選ぶ視点も参考になります。ある元経理職の61歳男性は、退職後にゴルフの練習を再開しようとした際、右肩を後ろに回すと激痛が走ることに気づき、整形外科を受診したところ五十肩の拘縮期と診断されました。「痛みで夜中に何度も目が覚めていた時期は本当につらかったが、時期によって対応が違うと聞いて、今は無理に動かさず理学療法士の指示通りに体操を続けている」と話しています。

五十肩と四十肩の違い

四十肩と五十肩は発症する年齢による呼び方の違いで、医学的には同じ肩関節周囲炎を指します。腱板断裂や石灰沈着性腱板炎など、似た症状を示す別の疾患が隠れている場合もあるため、痛みが2週間以上続く、夜間痛が強くて眠れない、腕が全く上がらないといった状態が続く場合は自己判断せず整形外科でレントゲンやエコー検査を受けることが必要です。

自宅でできるセルフケアの具体的な方法

炎症期は冷やす・安静にする

痛みが強い炎症期は、無理に動かさずアイスパックなどで15分程度冷やすと痛みが和らぐことがあります。三角巾や薄手のクッションで腕を軽く支えて寝ると、夜間痛による睡眠の妨げを減らせます。この時期に痛みを我慢して腕を動かし続けると炎症が長引く原因になるため、痛みが強い数日間から数週間は動かす範囲を最小限にとどめることが回復への近道です。

拘縮期はコッドマン体操で可動域を保つ

痛みのピークが過ぎたら、コッドマン体操(振り子運動)と呼ばれるセルフケアが効果的です。テーブルに片手をついて上体を前に倒し、痛む方の腕を力を抜いてぶら下げた状態で、体を使って腕を前後・左右・円を描くように揺らします。1回2〜3分、1日2〜3回続けることで、肩関節の周囲組織の癒着を防ぎながら少しずつ可動域を広げられます。壁に手をついて指を少しずつ上に這わせる「ウォールクライミング」というセルフケアも、痛みのない範囲で行うと拘縮の進行を抑える効果があります。

タオルを使ったストレッチ

フェイスタオルの両端を両手で持ち、片方の腕を上げてもう片方の腕で下に引っ張ることで、肩甲骨まわりの可動域を広げるストレッチができます。入浴後の体が温まったタイミングで行うと筋肉がほぐれやすく、痛みが少ない状態でストレッチを進められます。1回10往復程度を目安に、痛みが強くなる手前で止めることが継続のコツです。

整形外科・リハビリテーションでの治療

整形外科では、痛みが強い時期に消炎鎮痛剤の内服や湿布、ヒアルロン酸やステロイドの関節内注射で炎症を抑える治療が行われます。拘縮期に入ると理学療法士による運動療法が中心となり、肩関節周辺の筋肉をほぐしながら可動域を広げるリハビリを継続的に受けることになります。週1〜2回、数か月にわたって通院するケースが多く、自宅でのセルフケアと組み合わせることで回復のスピードが変わってきます。肩の痛みをかばって腕を動かさない期間が長引くと、肩関節周囲の筋肉が衰えて拘縮がさらに悪化する悪循環に陥ることもあります。筋肉量そのものが落ちている場合はサルコペニア予防の記事で紹介している運動も参考にしながら、痛みの段階に応じたリハビリを続けることが回復を左右します。

日常生活での注意点と予防

五十肩を発症すると、高いところの物を取る、後ろのポケットに手を回す、髪を洗うといった日常動作に支障が出ます。洗濯物を干す際は物干し竿の高さを一時的に下げる、寝るときは痛む方の肩を下にしないよう工夫するなど、生活動作の中で痛みを避ける工夫も回復を妨げないために役立ちます。家事の負担を軽くする工夫は退職後の家事の基本でも紹介しているので、肩の状態に合わせて取り入れてみてください。予防の観点では、日頃から肩甲骨を大きく動かすストレッチを習慣にしておくことで、肩関節周辺の柔軟性を保ちやすくなります。デスクワークやスマートフォンの操作で猫背の姿勢が続くと肩甲骨の動きが悪くなるため、1時間に1回程度、肩を上下に大きく回す動作を取り入れることも予防につながります。朝のラジオ体操週間のように肩を回す動作を含む体操を毎朝の習慣にしておくと、五十肩の予防だけでなく全身の柔軟性維持にもつながります。膝や腰の痛みと合わせて悩んでいる方は腰痛・膝痛との付き合い方も参考になります。

腱板断裂との見分け方に注意する

60代以降の肩の痛みでは、五十肩ではなく腱板断裂という別の疾患が隠れているケースがあり、症状だけでは自己判断が難しい点に注意が必要です。腱板断裂は肩を支える4つの筋肉の腱が切れる怪我で、重い荷物を持ち上げた瞬間や転倒した拍子に発症することが多く、腕を自力で上げられない、特定の角度で急に力が抜ける「ドロップアームサイン」と呼ばれる症状が特徴です。ある元運送業の63歳男性は、荷物を運んでいる最中に肩に鋭い痛みを感じ、その後も腕を真横から上に上げられなくなったため整形外科を受診したところ、五十肩ではなくMRI検査で腱板断裂と診断されました。「最初は五十肩だと思って自己流のストレッチを続けていたが、痛みが引かず腕も上がらないままだったので受診した。断裂の程度によっては手術が必要になると言われ、もっと早く来ればよかったと感じた」と話しています。腱板断裂は自然治癒しないため、コッドマン体操などのセルフケアだけで様子を見続けると症状が悪化する場合があります。安静にしていても腕が上がらない、力が急に抜ける感覚がある場合は、セルフケアを始める前に整形外科でMRIやエコー検査を受けて原因を確認することが回復への近道です。

よくある質問

Q. 五十肩は放置していても自然に治りますか。

A. 五十肩は自然経過でも回復に向かうことが多い疾患ですが、何も対処せずに放置すると可動域が十分に戻らないまま拘縮が固定してしまうケースがあります。特に拘縮期のリハビリを怠ると、腕が肩の高さまでしか上がらない状態が長期間残ることもあるため、早めに整形外科を受診することが望ましいとされています。

Q. 痛みがあるのに動かした方がいいのか、休めた方がいいのか分かりません。

A. 炎症期の強い痛みがある時期は安静が優先されますが、痛みが落ち着いてきた拘縮期には適度に動かして可動域を維持することが必要です。どちらの時期にあるかは自己判断が難しいため、整形外科医や理学療法士に現在の状態を確認したうえで運動の強度を決めるとよいでしょう。

Q. 反対側の肩も五十肩になりやすいですか。

A. 片方の肩が五十肩になった人は、数年以内にもう片方の肩でも発症する例が一定数報告されています。左右どちらかに違和感を覚えたら、早い段階で整形外科に相談し、悪化する前にセルフケアを始めることが再発予防につながります。

五十肩・四十肩のほかにも、この年代で気になる体の変化は少なくありません。頻尿・尿もれへの対処法や花粉症・アレルギーとの付き合い方も合わせて読んでおくと安心です。また、定年後の働き方としてタクシードライバーへの転身を選ぶ人や、再就職後に「即戦力」のプレッシャーを感じる人も多く、離婚を経験している場合は年金分割制度の基礎知識も確認しておくとよいでしょう。

実際に定年退職後の五十肩・四十肩のセルフケアの体験談も取材しています。ご自身の経験を話してみたいという方は取材にご協力ください。

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