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骨粗しょう症予防のカルシウム・ビタミンD摂取と生活習慣

2026 10/20
生活
2026年10月21日

骨粗しょう症は女性特有の病気だと思われがちですが、60代男性でも骨密度の低下は着実に進んでいます。日本骨粗鬆症学会の推計では、骨粗しょう症の患者数は全国で約1280万人にのぼり、そのうち男性は約300万人を占めるとされています。定年退職後は外出の機会が減って日光を浴びる時間が短くなりやすく、骨密度の低下に拍車がかかる人も少なくありません。ここでは60代の定年退職者に向けて、骨粗しょう症予防のためのカルシウム・ビタミンD摂取と生活習慣の工夫を紹介します。

目次

骨密度は40代から静かに低下する

骨量は20代でピークを迎え、その後は緩やかに減少し、特に閉経後の女性は骨量減少のスピードが上がります。男性も60代以降にテストステロンの分泌量が減ることで骨密度の低下が進み、70代では男女ともに骨折リスクが大きく上昇します。骨粗しょう症は自覚症状がほとんどなく、背中や腰の痛みで受診した際に圧迫骨折が見つかって初めて気づくケースが少なくありません。ある元教員の64歳女性は、庭の掃除中に尻もちをついただけで腰椎を圧迫骨折し、整形外科で骨密度を測定したところ若年成人平均値の68%しかなかったことが判明しました。「まさか転んだだけで骨折するとは思わなかった。健診で骨密度を測る機会がなかったので、気づいた時には進行していた」と振り返っています。

骨密度検査で分かること

骨密度はDXA法(二重エネルギーX線吸収測定法)という検査で腰椎と大腿骨を測定するのが標準的です。若年成人平均値(YAM)の70%以下、または80%未満で骨折歴がある場合に骨粗しょう症と診断されます。自治体の骨粗しょう症検診は40歳以上の女性を対象にしている場合が多いため、男性は整形外科や人間ドックのオプション検査として自主的に申し込む必要があります。

カルシウムとビタミンDの具体的な摂取量

1日に必要なカルシウム量

厚生労働省の食事摂取基準では、60代のカルシウム推奨量は男性で1日750〜800ミリグラム、女性で650ミリグラムとされています。牛乳コップ1杯(200ミリリットル)で約220ミリグラム、木綿豆腐半丁で約190ミリグラム、干しひじき大さじ1杯で約100ミリグラム、小松菜1束で約290ミリグラムのカルシウムが摂れます。乳製品が苦手な場合は、しらすや桜えびなど骨ごと食べられる小魚、小魚の佃煮を常備菜として取り入れると不足を補いやすくなります。

ビタミンDは日光浴と食事の両輪で

カルシウムの腸での吸収を助けるビタミンDは、鮭やさんまなどの魚類、きくらげや干ししいたけといったきのこ類に多く含まれます。加えて、皮膚が紫外線を浴びることで体内合成されるため、1日15〜30分程度、顔や手など肌の一部を日光にあてる時間を作ることが効果的です。退職後は買い物や散歩の時間を午前10時から午後2時の間に設定すると、紫外線を浴びながら運動量も確保できます。ビタミンKも骨の形成に関わる栄養素で、納豆や小松菜、ブロッコリーに多く含まれるため、カルシウム・ビタミンD・ビタミンKの3つを意識した献立を組むと骨の代謝が整いやすくなります。

骨に負荷をかける運動の重要性

骨は運動による物理的な刺激を受けることで骨密度を維持しようとする性質があります。水中運動のように骨への負荷が少ない運動よりも、ウォーキングや階段の上り下り、軽いジャンプを伴う体操など、地面からの衝撃が伝わる運動の方が骨密度の維持に効果的とされています。片足立ちを1日左右1分ずつ行うだけでも、太ももの骨に相当な負荷がかかり、転倒予防のバランス感覚も同時に鍛えられます。日々の歩数を増やす工夫については、退職後の運動習慣づくりの記事でも具体的な方法を紹介しているので、骨への負荷と組み合わせて実践すると相乗効果が期待できます。筋肉量の維持は骨への衝撃を生む土台にもなるため、サルコペニア予防の記事もあわせて参考にしてください。

転倒による骨折を防ぐ住環境の見直し

骨密度が下がった状態で転倒すると、手首や大腿骨頸部、腰椎の骨折につながりやすく、特に大腿骨頸部骨折は寝たきりのきっかけになることが多い骨折です。玄関や浴室の段差、廊下のコード類、滑りやすいスリッパなど、自宅内の転倒リスクは整形外科や理学療法士に実際の住まいの写真を見せて指摘してもらうと、自分では気づきにくい箇所が具体的に分かります。夜間トイレに起きる際の足元灯の設置や、浴室の手すりの取り付けといった対策も、転倒による骨折を防ぐうえで具体的に効果があります。自宅でできる転倒予防の体操は自宅でできる転倒予防エクササイズで詳しく紹介しています。入浴時の事故対策についてはヒートショック対策もあわせて確認しておくと安心です。

男性の骨粗しょう症が見落とされやすい理由

骨粗しょう症検診の対象を女性に限定している自治体が多いため、男性は骨密度の低下に気づく機会そのものが少ないという課題があります。ある元商社勤務の66歳男性は、退職後にゴルフ場の階段で転倒し、手首を骨折して初めて整形外科でDXA検査を受けたところ、YAM値が74%まで下がっていることが判明しました。医師からは「男性は骨折してから気づくケースが女性より多い。特に喫煙歴がある人や、若い頃から乳製品をほとんど摂らない人はリスクが高い」と説明を受けたといいます。本人は「妻が骨密度検診に通っているのを見ていたが、自分には関係ないと思い込んでいた」と話しており、退職を機に夫婦で一緒に骨密度検査を受ける習慣をつけたそうです。60代男性の骨折は女性に比べて重症化しやすい傾向も指摘されており、自覚のないまま放置しないためにも、人間ドックのオプションとして骨密度検査を組み込むことが実践的な対策になります。

整形外科での治療とフォローアップ

骨密度検査でYAM70%以下と診断された場合、骨吸収を抑える薬や骨形成を促す薬による治療が始まります。薬の種類によっては月1回の注射や週1回の服薬など投与間隔が異なるため、通院を続けやすい治療法を整形外科医と相談して選ぶことが重要です。治療開始後も半年から1年に1回程度の骨密度検査で効果を確認し、必要に応じて薬の種類を見直していきます。喫煙や過度の飲酒は骨密度を下げる要因になるため、治療と並行して生活習慣の改善に取り組むことが数値の回復につながります。

よくある質問

Q. サプリメントでカルシウムを補えば十分ですか。

A. サプリメントは食事で不足した分を補う目的には有効ですが、カルシウムだけを過剰に摂取すると尿路結石のリスクが高まることがあります。まずは食事からの摂取を基本とし、不足分をサプリメントで調整する形が望ましいとされています。

Q. 骨粗しょう症検診はどこで受けられますか。

A. 自治体の特定健診や骨粗しょう症検診のほか、整形外科でも自費または保険適用で骨密度検査を受けられます。居住する市区町村の保健センターに問い合わせると、検診の対象年齢や費用、実施医療機関の案内を受けられます。

Q. 骨折したことがなければ検査は不要ですか。

A. 骨粗しょう症は骨折して初めて気づくことが多い病気のため、骨折歴がなくても60代になったら一度は骨密度を測定しておくことが望ましいとされています。特に家族に大腿骨頸部骨折の既往がある場合は、早めの検査が推奨されます。

なお、定年後の暮らしでは骨の健康以外にも気になる体調の変化や今後の仕事・お金の計画など、考えておきたいテーマが多くあります。頻尿・尿もれへの対処法や花粉症・アレルギーとの付き合い方は同じ年代で悩む人が多いテーマです。また、タクシードライバーへの転身や再就職後に感じる「即戦力」のプレッシャー、離婚時の年金分割制度についても、あわせて読んでおくと今後の生活設計の参考になります。

実際に定年退職後の骨粗しょう症予防とカルシウム摂取の体験談も取材しています。ご自身の経験を話してみたいという方は取材にご協力ください。

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