退職を決める前に確認しておくと、後悔を減らせる項目があります。この記事では、退職前にチェックしておきたい10項目を具体的にリストアップします。
お金まわりの確認
- 退職金の見込み額を会社に確認したか
- 退職後、健康保険をどうするか(任意継続・国民健康保険・扶養)決めたか
- 年金の受給開始時期の見通しを確認したか
- 当面(半年〜1年)の生活費が確保できているか
手続き・準備の確認
- 有給休暇の残日数と消化の見通しを確認したか
- 離職票・退職証明書など、退職後に必要な書類を把握しているか
- 次の道(再就職・独立など)について、動き出すタイミングを決めているか
気持ち・家族まわりの確認
- 家族に退職の意向と今後の見通しを伝え、話し合ったか
- 「辞めたい理由」だけでなく「辞めた後どうしたいか」を言葉にできるか
- 今の感情が一時的なものか、長く続いている考えかを振り返ったか
体力・健康まわりの確認
- 直近の健康診断の結果を確認し、気になる点はないか
- 退職後に運動習慣を続ける、または始める見通しがあるか
- 持病がある場合、通院先や薬の管理方法を確認しているか
体力面の確認は見落とされがちですが、退職後の生活の自由度に直結する重要なポイントです。退職後の運動習慣:体力を落とさないためにできることもあわせて確認しておくとよいでしょう。
退職後の道筋の確認
- 退職後にやりたいことを1つでも具体的に言えるか
- 自分の強み・スキルを一度棚卸ししたか
- 再就職・独立・ボランティアなど、複数の選択肢を比較したことがあるか
漠然と「なんとかなるだろう」で終わらせず、やりたいことや自分のスキルを具体的に書き出して、イメージを持っておくと、退職後の見通しが立てやすくなります。
それぞれの項目をもう少し詳しく
「お金まわりの確認」で特に見落としやすいのが、健康保険の切り替えと住民税の支払いです。退職後1〜2年は、在職中の所得を基準にした住民税や国民健康保険料が来ることが多く、想定より負担が大きく感じられることがあります。健康保険の切り替え:任意継続と国民健康保険、どちらを選ぶかと住民税の支払い方法:退職後に来る納税通知にどう備えるかを事前に確認しておくと安心です。
「手続き・準備の確認」では、退職金の受け取り方(一時金か年金形式か)も、退職前に会社の担当部署と相談しておきたいポイントです。退職金の受け取り方(一時金 vs 年金)、どちらが得かもあわせて確認しておきましょう。
チェックリストを使うタイミング
このチェックリストは、退職を決めた後だけでなく、迷っている段階で使っても役立ちます。「いいえ」が多い項目があれば、それが今取り組むべき準備の優先順位を教えてくれます。一度に全部確認しようとせず、1週間に1〜2項目ずつ進めるくらいのペースでも十分です。焦って全項目を一気に片づけようとすると疲れてしまうため、自分の生活リズムに合わせて無理のないペースで進めましょう。
チェックリストを家族と一緒に確認する
一人で黙々とチェックするよりも、家族と一緒にこのリストを見ながら話し合うと、より具体的な準備につながります。「お金まわりはこれくらい見通しがついている」「体力面はこう考えている」といったことを共有しておくと、退職後に「聞いていなかった」という行き違いを防ぐことができます。
デジタル・情報まわりの確認
意外と見落とされがちなのが、会社支給のパソコンやスマートフォンに保存している私的なデータの整理、社外の連絡先リストの控え、各種サブスクリプションサービスの支払い方法の見直しです。退職後に慌てて対応することがないよう、在職中のうちに一度確認しておくと安心です。会社のメールアドレスで登録しているサービスがある場合は、退職前に個人のアドレスへ変更しておくことも忘れずに行いましょう。
チェック項目を一つの表にまとめる
10項目以上あるチェックリストは、頭の中だけで管理しようとすると抜け漏れが生じやすくなります。ノートやスプレッドシートに一覧表として書き出し、「はい/いいえ」と「対応予定日」を記入できる形にしておくと、進捗が一目で分かり、モチベーションの維持にもつながります。資産の一覧表と合わせて管理すれば、退職準備の全体像がより明確になります。
住まい・暮らしまわりの確認
- 今の住まいに住み続けるか、住み替えを検討するか決めたか
- 実家や親の家の今後について、家族と話し合ったか
- 車の維持費や交通手段の見直しを検討したか
住まいに関する確認は後回しにされがちですが、生活費全体に大きく影響する項目です。特に実家の扱いは早めに家族間で共有しておかないと、後になって調整が難しくなることがあります。早い段階から情報を整理しておくと安心です。
準備の状況を定期的に見直す
一度チェックリストを確認して終わりにせず、退職までの期間、月に1回程度見直しておくと、進捗が実感できます。状況は時間とともに変化するため、最初は「いいえ」だった項目が、準備が進むにつれて「はい」に変わっていくのを実感できると、退職への不安も少しずつ和らいでいきます。
マイナンバーカードの住所・記載事項変更手続き
退職を機に住まいを移す場合は、転出届・転入届の手続きに合わせて、マイナンバーカードの住所変更も必要です。住民基本台帳法では異動から14日以内に新しい市区町村の窓口へ届け出ることになっており、手続きの際は通知カードではなくマイナンバーカード本体を持参し、裏面の住所欄を書き換えてもらいます。氏名や本籍地に変更がある場合も、同じ窓口で記載事項変更の手続きが必要です。
見落とされやすいのが、電子証明書の有効期限です。マイナンバーカードの本体は発行から10年(交付時に18歳未満だった場合は5年)、署名用電子証明書と利用者証明用電子証明書はいずれも発行から5年で失効します。年金請求やマイナポータルでの各種手続きをオンラインで行う予定がある場合、電子証明書が失効していると申請自体ができないため、退職前後の手続きが重なる時期に入る前に有効期限を確認し、必要なら更新しておくと二度手間になりません。
マイナンバーカードを健康保険証として利用している場合、退職に伴い加入する健康保険が変わると、保険者情報の切り替えに数日〜2週間程度かかることがあります。切り替え直後に医療機関を受診する際は、資格確認書や資格情報のお知らせの持参が必要になる場合があるため、加入先の保険者(協会けんぽ、市区町村の国民健康保険など)へ事前に確認しておくと安心です。
年金請求手続きのタイミング
老齢基礎年金・老齢厚生年金は、支給開始年齢になったら自動的に振り込まれるわけではなく、自分で「年金請求書」を提出して初めて受給が始まります。日本年金機構からは、支給開始年齢に到達する3か月ほど前を目安に、水色の年金請求書(事前送付用)が郵送されてきます。この請求書は支給開始年齢の誕生日の前日以降でなければ提出できないため、届いたらすぐに提出できるわけではない点に注意が必要です。
昭和36年4月1日以前生まれの男性、昭和41年4月1日以前生まれの女性などは「特別支給の老齢厚生年金」の対象になり、原則65歳より前(60〜64歳の間)に受給が始まる場合があります。該当するかどうかは、届いた年金請求書やねんきん定期便の記載で確認できます。
受給開始年齢は、60〜64歳に早める繰り上げ受給(1か月早めるごとに年金額が0.4%減額)、66〜75歳に遅らせる繰り下げ受給(1か月遅らせるごとに0.7%増額)を選ぶこともできます。繰り上げは通常の年金請求手続きの中で申し出ますが、繰り下げを希望する場合は65歳時点で年金請求書を提出せず、実際に受け取りたい年齢に達してから改めて請求手続きを行います。どちらも一度選択すると原則あとから変更できないため、年金事務所で金額のシミュレーションを確認してから決めると安心です。詳しい比較は年金の繰り上げ・繰り下げ受給、どちらがいいかで解説しています。
なお、65歳未満で特別支給の老齢厚生年金を受け取りながら雇用保険の基本手当(失業保険)を申請すると、年金の支給が原則として停止されます。年金と失業保険のどちらを優先するかは、金額を比較したうえで判断する必要があります。
よくある質問
Q. 退職の何か月前からチェックを始めるべき?
A. 目安として、3〜6か月前から少しずつ準備を進めておくと、慌てずに済みます。特に健康保険や年金の相談は、窓口によっては予約が必要な場合もあるため、早めに動き出しておくと安心です。
Q. すべての項目が「いいえ」でも退職していい?
A. 退職を止める必要はありませんが、退職前に少しでも準備を進めておくことで、退職後の不安を減らせます。特にお金まわりの確認だけは、優先的に済ませておくと安心材料になります。
Q. 会社都合退職の場合もこのリストは使える?
A. 使えます。特に「お金まわりの確認」と「手続き・準備の確認」は、退職理由にかかわらず共通して必要になる項目です。会社都合の場合は失業保険の給付制限がないなど有利な点もあるため、早めにハローワークに相談しておくとよいでしょう。
Q. 何度もチェックし直してもいい?
A. もちろんです。むしろ一度だけでなく、退職が近づくにつれて何度か見直すことで、抜け漏れに気づきやすくなります。最初は不安に感じた項目も、情報を集めるうちに「はい」に変わっていくことがよくあります。
Q. 項目が多すぎて何から手をつければいいか分かりません
A. 優先順位に迷ったら、まずは「お金まわりの確認」から着手すると、気持ちに余裕が生まれ、他の項目にも取り組みやすくなります。
Q. 住まいの確認は退職後でも間に合いますか?
A. 間に合う場合もありますが、実家の空き家問題など家族間の調整が必要な項目は、早めに話し合いを始めておく方が後々スムーズです。退職を機に一度、住まい全体の方針を家族と確認しておくと安心です。
まとめ:全部揃ってから、でなくてもいい
10項目すべてが完璧に整ってから退職する必要はありません。ただし、特に「お金まわりの確認」は後回しにするほど不安が大きくなりやすいため、優先的に確認しておくと安心です。迷いそのものへの向き合い方は退職を迷っている人へ:後悔しないための考え方で解説しています。
実際にこうした準備をして退職した方、しないまま退職した方、両方の体験談も取材しています。ご自身の経験を話してみたいという方は取材にご協力ください。


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