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再雇用の契約更新を断られたらどうする

2026 9/28
迷っている人へ
2026年10月8日

再雇用契約は1年更新のところが多く、「来期の更新はありません」と告げられて初めて、この働き方には終わりがあることに気づく人が少なくありません。高年齢者雇用安定法で65歳までの雇用確保が義務づけられているはずなのに、なぜ更新を断られるのか。制度の建てつけと、実際に更新を拒否されたときにできることを整理します。

目次

法律は「65歳までの雇用確保」であって「無条件更新」ではない

高年齢者雇用安定法は、企業に対して定年後も希望者全員を原則65歳まで雇用する義務を課しています。ただしこれは「制度として継続雇用の枠組みを用意すること」を求めているのであって、個々の契約更新を無条件に保証するものではありません。多くの企業は再雇用契約書に「著しい能力不足」「勤務態度に重大な問題があった場合」「健康上の理由で業務遂行が困難な場合」といった非更新事由を明記しており、これに該当すると会社が判断すれば、65歳前でも更新を打ち切られることがあります。つまり「65歳まで働ける制度がある」ことと「自分が65歳まで働けるかどうか」は別の話だという前提から出発する必要があります。

更新拒否が起きやすい場面

実際に非更新が発生するのは、契約書に書かれた抽象的な事由よりも、もっと現実的な事情が絡んでいることが多いものです。部署の統廃合で再雇用者の受け皿ポストそのものが減った、担当していた業務がシステム化されて仕事量が縮小した、あるいは直属の上司が交代し評価の基準が変わった、といったケースです。こうした背景があるかどうかは会社側から積極的には説明されないため、非更新を告げられた際に「業務量の変化なのか、個人の評価なのか」を切り分けて質問することが、その後の対応を決めるうえで重要な手がかりになります。

まず確認すべきこと

契約書の更新条件

再雇用契約を結んだ際の雇用契約書、または就業規則の「継続雇用制度」に関する条項を読み返してください。更新の判断基準がどう書かれているか、更新しない場合の予告期間(多くは契約満了の30日前までの通知)が守られているかを確認します。予告なく突然「今期で終わり」と告げられた場合、労働基準法上の解雇予告に準じた扱いが必要になるケースもあり、この時点で手続きに不備がないかを見ておく価値があります。

非更新の理由を書面で求める

口頭での説明だけで納得せず、非更新の具体的な理由を書面で示してもらうよう会社に依頼してください。「体力的に難しいと判断した」のような曖昧な説明ではなく、どの業務のどの部分が契約書の非更新事由に該当するのかを尋ねます。書面化を求めること自体が、会社側に説明責任を意識させ、恣意的な運用に歯止めをかける効果があります。

会社の説明に納得できないときの動き方

非更新の理由が契約書の規定に照らして不合理だと感じる場合、まず動くべきは都道府県労働局の総合労働相談コーナーです。無料で相談でき、必要であれば「あっせん」という形で会社との間に労働局が入り、話し合いの場を設定してもらえます。一方、能力評価や人事考課の中身にまで踏み込んで会社と争う可能性がある場合、あるいは非更新が実質的に年齢や病気を理由にした不当なものだと考えられる場合は、早い段階で労働問題に詳しい弁護士への相談に切り替えたほうが動きやすくなります。法テラスの民事法律扶助を使えば、収入要件を満たす人は弁護士費用の立て替え制度を利用できます。

並行して進めておきたい求職活動

交渉や相談と並行して、更新されない前提での次の動きも準備しておくと精神的な余裕が生まれます。ハローワークでは65歳未満であれば雇用保険の基本手当(失業給付)の対象になる可能性があり、まずは離職票が発行され次第、最寄りのハローワークで求職の申し込みをしてください。申請の具体的な流れは失業保険の申請方法とタイミングで解説しています。60代での再就職先を探す場合、一般の転職エージェントよりも高齢者雇用に強いエージェントや、地域のシルバー人材センターのほうが求人の実態に合っていることもあります。エージェントの選び方は転職エージェントの選び方と使い方、シルバー人材センターについてはシルバー人材センターの登録方法と仕事の探し方を参考にしてください。

感情の整理も必要な局面

再雇用の更新拒否は、単なる契約手続きの問題として片づけられない重さを持っています。定年退職の時点ですでに一区切りをつけたはずなのに、再雇用という「延長戦」でも会社から区切りを告げられる形になり、二重に区切りを経験することへの戸惑いを感じる人は多いものです。実際に更新を断られた60代前半の男性は、最初の数日は「能力不足と言われたようなものだ」と落ち込んだものの、労働局のあっせんを申し込んで会社側の判断基準を書面で確認したところ、体力面ではなく部署の人員整理が理由だったと分かり、気持ちの整理がついたと話していました。感情的な反応と制度上の手続きを分けて考えると、次の一手が見えやすくなります。長年勤めた会社から「もう来なくていい」というメッセージを受け取ったように感じてしまうのは自然な反応ですが、非更新の判断は個人の人格や過去の貢献を否定するものではなく、あくまで契約上の事務手続きだと捉え直すことで、必要以上に自分を責めずに次の相談先へ動けるようになります。

再雇用そのものを続けるかどうかの判断

今回は更新されたとしても、この先の働き方をどうするかを改めて考えるきっかけにもなります。再雇用のまま働き続けるか、区切りをつけて完全退職するかで迷う場合の判断材料は再雇用か完全退職か、迷ったときの判断基準に、給与面での交渉の進め方は再雇用後の給与交渉:提示額に納得できないときの対応にまとめています。

よくある質問

Q. 非更新の理由が納得できません。会社に撤回を求めることはできますか。

A. 契約書の非更新事由に明確に該当しない、あるいは判断基準が恣意的だと考えられる場合、労働局への相談やあっせん申請を通じて会社側の説明を求めることができます。ただし契約は1年ごとの合意に基づくものであり、必ず更新が撤回されるとは限らない点は理解しておく必要があります。

Q. 更新されないまま65歳を迎える場合、年金や失業給付はどうなりますか。

A. 65歳未満で離職した場合は雇用保険の基本手当の対象になりますが、65歳以降の離職では「高年齢求職者給付金」という一時金形式の給付に切り替わります。年金の受給開始時期との兼ね合いも出てくるため、離職前にねんきん事務所やハローワークで具体的な受給額を確認しておくと安心です。

Q. 弁護士に相談するかどうかの目安はありますか。

A. 非更新の理由が年齢や病気そのものを理由にしていると疑われる場合、または人事評価の記録と会社の説明が食い違っている場合は、早い段階で労働問題に詳しい弁護士に相談したほうが、証拠を残しながら交渉を進めやすくなります。

再雇用契約の更新拒否は、突然降りかかってきたように感じても、契約書の条項と会社側の説明という2つの事実に分解して確認すれば、次に取るべき行動が具体的に見えてきます。まずは契約書を手元に用意し、非更新の理由を書面で求めるところから始めてみてください。

実際に再雇用契約の更新を断られた人の体験談も取材しています。ご自身の経験を話してみたいという方は取材にご協力ください。

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